映画「ザ・ハンティング・グラウンド」
原題:The Hunting Ground 製作:アメリカ(2015年)
アメリカで今、大きな社会問題となっているキャンパスでのレイプ問題に対して、実際に被害にあった女子学生らの訴えを追いかけたドキュメンタリー映画。2015年サンダース映画祭で上映されたことをきっかけに注目されCNNでも放送されている。
これはノースカロライナ大学で実際に起こった事件であり、アメリカの名門大学が経営を多額の寄付に頼っていることで事件が表面化して評判が落ちることを恐れたり、加害者が名門スポーツ部のスター選手だったりすることで事件そのものをもみ消そうとする現実を暴露した衝撃的な内容。
【スタッフ】監督・脚本/カービー・ディック
【キャスト】アンドレア・ピノ アニー・クラーク クレア・ポッター メリンダ・マニング
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女子学生が志望の一流大学に合格した、そんな彼女たちの喜びの声から物語ははじまる。
「信じられない!」「嬉しい!」「ほんとうに!?」自宅のPCで合格を確認した彼女たちの歓喜の声に、笑顔の母、誇らしい父、家族それぞれの祝福が重なる。
ハーバード、バークレー、スタンフォード、ノートルダム、、、名門校への入学に胸躍らせ、親元を離れて寮生活を行う女性もあり、友人を作り、ともに学びともに楽しみーーーところが新入学の学生に「落とし穴」がある。
男子学生が、大学をあたかも「猟場(ハンティング・グラウンド)」としていることに気づくのは被害を受けてからだ。
大学側に被害を訴えても、「ノーと言わなかったのはなぜか、合意ではないか」と彼女ら被害者に落ち度があると言わんばかりに加害者は不問に伏される。アメリカ各大学内でのレイプ被害は数年間に100〜300件を超える学校もあるが、加害者が退学等処分を受けたのは各校1桁数程度。
このまま放置すると、アメリカでは新入生が毎年10万人のレイプ被害者が出る。
自身もレイプ被害を受けながら(被害を受けたからこそ)立ち上がり、レイプ被害者が軽視されたり自殺に追い込まれることのないよう、次に続く新入生に自分たちと同じ思いをさせないためにと、立ち上がる。
それまでのメディアでの報道も被害者を軽視するものが多かった。
加害者を罰せられるべきと言いつつ、「加害者の卒業時には退学にするべきだ!」とふざけた論調のテレビ番組すらあった。
背景には、レイプ加害者の多くは大学を代表するアスリート選手だったり、男子倶楽部の存在があったりとちらちら見え隠れするアメリカの疚しさも描かれているし、被害者である彼女たちを守ろうとする学長は更迭され、警察も被害者救済に立ってくれないーーー彼女たちはあらゆる方法で政府と話し、オバマ大統領をして「立ち上がった彼女たちの勇気を称える」と言わしめる。
映画を見ていて感じたのだが、彼女たちが被害に遭っているとき、苦しい気持ちを抱えているとき、サバイバーの彼女たちが立ち上がったとき、見ている私は歯を食いしばり拳を握りしめていた。泣いたりできない。
心の中で「ありとあらゆるものに負けるな。これ以上傷いちゃいけない」と、心の中で静かに激励しながらスクリーンを見つめ続けていた。
そして、彼女たちの明るい未来が見えたとき
はじめて涙が流れてきた。
一度流れはじめた涙はとめどなく流れ続ける。
本作のエンディングにレディ・ガガが歌う「Til It Happens to You(それがあなたに起きるまで)」は、本作のために書き下ろされている。
ガガ自身、過去レイプ被害にあったことを2014年告白している。
「ザ・ハンティング・グラウンド」予告編
アカデミー賞でのレディ・ガガ感動のパフォーマンス
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