妻からのDV
「妻からのDV」について、
朝日新聞にコメント出しました。男性からのDV以上に、女性からのDVは外からではわかりづらいものです。
私が20年以上前から行ってきた相談業務のなかで、「僕が(池内に)相談したということは、妻にも、僕の勤務先にも知られることはありませんよね」と、相談予約のとき念押し確認なさったうえで来所なさいます。
DV被害を受けてることを長年、誰にも言うことができまいまま耐えていらした方々があります。男性も女性も、大人も子供も。
私が、女性だけでなく男性からのご相談もお受けしてきたのは、苦しいときに男も女もあるもんか、という気持ちとともに、さまざまあってもなお、いえ、だからこそあなたが安心して穏やかに過ごすことのできる「あなたの家族」を作ってほしいと願うからです。
ほんらい、親、子、配偶者は、何があっても守る、味方してくれる存在です。
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朝日新聞(9月13日紙面)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150913-00000009-asahi-soci
罵倒されても蹴られても…妻からのDV、口閉ざす夫たち
配偶者の暴力(DV)を受けている被害者を守るDV防止法が成立し、15年目に入りました。法は改正を重ね、救済の道は広がってきました。女性だけでなく、男性が被害を訴える事例も増えているようです。DVの現状と課題について、2回にわたって取りあげます。
■「稼ぎが悪い」「バカがうつる」
東京都内に住む自営業の男性(45)が、2年余り受け続けた妻からの暴力を明かしたのは3年前の夏だった。妻から逃れて自宅を飛び出すと、警察官が立っていた。
「どうしました?」
男性は重い口を開いた。
前夜、酔って帰宅した妻の携帯電話にメールが着信した。差出人は知らない男の名前で、直前まで会っていたことがうかがえる内容だった。気配で目を覚ました妻が「携帯を返せ」と飛びかかってきた。服を引き裂かれながら近くの公園へ逃げ、一夜を明かして帰ると妻は再び逆上。その騒ぎを聞いた近所の人が110番通報をしたのだった。
1歳上の妻とは2008年に結婚した。精神的に不安定で、目の前で手首を切られたこともある。「自分が支えなければ」と結婚に踏み切ったが、10年ごろから暴力が始まった。毎月20万円の生活費を渡しても「稼ぎが悪い」とののしられ、料理をすれば「まずい」と言われ、トイレ掃除をしても「汚い」と責められた。自宅で仕事中に蹴られてけがをし、完成間際の作品を壊された。
常に身構えるようになり、抜け毛が増え、吃音(きつおん)にも悩んだ。周りから「奥ゆかしい」と評される妻の素顔は誰にも言えなかった。だが、警察官に明かしたその日のうちに別居。2年越しの裁判で昨年春に離婚が成立した。役立ったのは、逃れた公園で撮影した浮気の証拠となるメールと警察官が聴取した記録だった。「慰謝料は請求できたが、一刻も早く離婚したくて諦めた」と男性は振り返る。あの夏、警察官に会わなければ、孤立したままだったかもしれない。
神奈川県内で働く30代後半の会社員の場合、DVの被害を訴えられないままでいる。妻の暴言が始まったのは長女が生まれてから。「バカがうつる」と言われ、母親との絶縁など無理な条件が並ぶ誓約書を書かされ、まもなく自宅を追い出された。それから2年。会社員は今も月収の半分を超す30万円を毎月の養育費として支払い、自分は風呂なしのアパートで暮らす。
「『子どものため』と言われれば養育費を払うしかない。プライドが邪魔して、相談もできない」
■DV被害10%は男性
警察庁によると、DVの被害は年々増え続け、14年には過去最多の5万9072件に上った。そのうち男性は10・1%で、10年の2・4%から4倍に増えた。最高裁のまとめでは、「相手からの暴力」で離婚を申し立てた夫は00年度の882件から14年度の1475件へと増加。一方、妻は1万3002件から1万1032件へと減った。
なお被害者の9割は女性だが、男性の被害は明らかになりにくい背景もある。
内閣府が14年度に実施した男女間の暴力についてのアンケートでは、配偶者からの被害経験は女性が23・7%、男性が16・6%。そのうち「相談しなかった」と答えたのは女性の44・9%に対し男性は75・4%。男性の方が1人で抱え込む傾向がうかがえる。
男性からのDV相談も多く受ける森公任(こうにん)弁護士は、男性の被害者に対する世間の理解不足から「離婚したい場合、現場をとらえた写真や音源といった客観的証拠が女性以上に重視される」と指摘する。
自治体も対策に乗り出している。東京都が運営する東京ウィメンズプラザでは01年6月から男性専用の夜間電話相談を開設。今年度からは週1回の面接相談を始めた。京都市も13年度に男性職員が相談に乗る電話窓口を設けた。北海道では昨年末以降、男性が入れる「一時保護施設」を社会福祉法人の一室に準備した。
夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美さんは「男性は社会的地位が影響し、公的機関や勤務先に頼るケースは極めて少ない。職場で『家庭内さえ管理できない』と見なされ、出世を阻まれたり失職したりするのを極度に恐れて口を閉ざすのが大半」と分析する。そのうえで「離婚できない状況であれば、職場に単身赴任を願い出たり遠くに住む親の介護を装ったりして別居する道もある。子どもを含む被害を減らす方法だ」とし、男性が暴力の被害を言うことは恥ではないと強調する。(高橋美佐子)
◇
《DV防止法》 夫婦や恋人の間での暴力(ドメスティック・バイオレンス=DV)の被害者保護と自立支援を目指して2001年4月、超党派の議員立法で成立した。被害者の申し立てにより、必要なら加害者に被害者への接近禁止や住宅からの退去などの「保護命令」が出る。これまでに3回改正され、加害者の対象が離婚した元パートナーや同居相手にも拡大した。この法律に基づいて全国の婦人相談所などに置かれた「配偶者暴力相談支援センター」への相談は、14年度に10万件を突破した。
■男性のためのDV電話相談窓口
・東京都 ※東京ウィメンズプラザで受け付け
月・水17:00~20:00(祝日・年末年始除く)
電話03・3400・5313
・京都市
毎月第2・第4火曜19:00~20:30受け付け終了(祝日・年末年始除く)
電話075・277・1326
・神奈川県
月・木18:00~21:00(祝日除く)
電話0570・783・744
・横浜市 ※性別を問わない
(1)月~金9:30~12:00、13:00~16:30(祝日除く)
電話045・671・4275
(2)月~金9:30~20:00、土・日・祝日9:30~16:00(第4木曜除く)
電話045・865・2040
◇
■ご意見をお寄せください
DVについてのご意見を募集します。電子メールはseikatsu@asahi.com、FAXは03・5540・7354、または郵便で〒104・8011(住所不要)朝日新聞文化くらし報道部「DV」係へ。
朝日新聞社
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